つかれたつかれた

いぬのえいがを見る。


正直言って、あまりに酷いものでした。このままだと私の気持ちの収まりもつかないので、詳細を書かせていただきます。


全編で1時間40分ですが、1時間20分間は見る価値ゼロです。初っ端から嘔吐寸前の映像の連続で、まさに「つかみはホウケイ」と言ったところ。ネームバリューのあるキャストも、ただ単に顔見せをしているだけ。彼らの目も声も、まったくハリがありません。誰の目も輝かないような出演依頼をしたであろうこと明白です。


映画としての作りも、背筋が寒くなるような低クオリティ。納得のできない演出の連続で、憤りすら感じました。無駄なスローモーションも、心を苛立たせるだけで、よっぽどスモウローションのほうが気持ちよさそうです。


ロケ地もとっても適当。多摩川や埼玉、昭和記念公園など。景色や色で、強烈な印象を与えるものも、まったく無かったです。志が無いんでしょうか?


でも、最後のエピソード「ねぇ、マリモ」では、15分間涙が止まりませんでした。試写会にての号泣率が90%であると、公式webに書いてありましたが、犬と暮らし、犬をパートナーとして捉えていた経験がある人は100%泣くことでしょう。この部分を見るという前提で、DVD化を待って旧作レンタルで300円くらい払う価値はあります。「ねぇ、マリモ」(講談社)の絵本を1050円で買う価値も大有りです。


ちなみに、必死になって声を漏らさないように泣いた映画は、フランダースの犬以来です。それを監督した黒田昌郎氏も参加してるんすね。彼はアニメ作品のメガホンをとっているのでしょうか?アニメ作品はなかなかよかったですよ。


製作者側に、誇りや覇気を感じない。というのがこの映画に対して感じた一番大きな印象でした。あと、泣ければいいじゃないか的な、最後に「必ず泣ける」エピソードを持ってきた構成も、とても鼻につきます。ドッグフードを買った方だけ見られる、webムービー(もちろん、「ねぇ、マリモ」のエピソードだけで十分です)の企画とかにすればちょうど良かったのではないかと思われます。


想像してください。
あなたは、フルコースの料理を食べたとします。しかし、メインディッシュはものすごく美味しいのに、前菜やサラダは不味かった。筆舌に尽くしがたいほど、抜群に不味いのです。これでは、フルコースも、お店も、その食事の行為そのものも、台無しですよね? 今回の映画は、その例えがぴったりくると思います。


もうひとつ付け加えましょう。そのメインディッシュだけおいしいお店は、プロモーション活動が上手でした。だからあなたも、その店を見つけたわけです。にもかかわらず、台無しの結果に終わった。これは、腹立たしいです。あなたは不満足だけど、お店にはお金が入ったわけですから。


いぬのえいが」も、プロモーションは頑張っているようです。パルコ、プランタン、新宿三越などなど店舗連動の企画もあります。記者会見も、話題性のある出演者のおかげでyahooのnewsに取り上げられてましたっけ。パブもあるでしょうが、随分とお金は動いているに違いありません。


でも、とてもとてもとても、つまらないのです。だから、腹立たしいことこの上ありません。


製作プロダクションである、オズ、電通テック、IMJエンタテインメントは猛反省してください。生き物の生死をビジネスとして展開するならば、しっかり志をもって、取り組んでください。

疲れた。