つかれた

ある日、
用事を終えて、帰り道の途中にある友人宅に寄った。


電気がついているようだったので、呼び鈴を鳴らしたけど、
出てくる気配は無い。
しかたなく、窓側に歩いて回ってみた(友人の部屋は1fなのだ)。
カーテンは閉まっていたが、どうやら友人はいるらしい。
窓越しに響いてくるキーボードのタイプ音や、
カーテンにうつった、時折動く影によって明白だ。


セックスとかオナニーとかしていたら不味いと思い、
ノートパソコンを起動し、メッセンジャーで語りかけてみる。


でも反応なし。


しゃーないので、
時折動く影にむかって、窓ガラスを叩いてみた。
そしたら、力が余って、ガラスを割ってしまった。
案外と簡単に割れるものだと驚いた。
それより、影が友人で、友人に怪我をさせてしまったのではと焦った。


しかし、友人はいないようだった。
しかも、うまい按配に、鍵の部分だけ割れたので、
手を入れて鍵をあけてみた。
時折動く影とキータイプ音の正体を知りたかった。
土足のまま、あがると、部屋には、大きなペルシャ猫がいた。
「いた」というより、部屋の中でぐるぐる回っていた。
その回るコースに椅子や机があり、ここを通るたびに、人影のようなものを
カーテンにうつしていたのだと理解した。


キータイプの音も、猫がつめを立てて板の間を走ることから発しているらしい。
床は傷だらけだった。


疲れてる。